オフショア開発とは?意味やメリットを分かりやすく解説!

Dec 7, 2021オフショア開発とは、自国で実行していた開発業務を別の国に委託することです。近年、日本企業の場合、ベトナムにオフショア開発を委託する事例が良く取り上げられています。

オフショア開発とは

オフショア開発とは、社外に開発業務を委託するアウトソーシングの中で、海外にアウトソーシングするものを指す言葉です。

近年、ソフトウェア開発の業界全体の需要が拡大するなかで、コスト面や開発リソースの優位性を求め、開発業務の一部または全てを他の国にアウトソーシングする流れが多くの企業で見られるようになりました。

IT業界で、競合に勝つための戦略としてオフショア開発が選択されるのは自然な流れでしょう。たとえば、オフショア開発では、

単純な作業だけでなく専門的なアプリ・システム開発まで海外にアウトソーシングされています。また、ソフトウェアの保守やサポート業務も海外に委託される場合もあります。

開発拠点が海外の会社にオフショア開発を委託し、プロフェッショナルな人材を確保することで、自国で開発に必要な人材を採用して雇用を継続していくための労力とコストを緩和できます。さらに、開発にかかるトータルの時間を考えた場合、準備にかかる時間を短縮することができ、ソフトウェアを今まで以上に速く市場に出すことが可能となります。


オフショア開発の現状と動向

オフショア開発というと、かつては海外進出のための費用と手間がかかり、大企業の委託元が多い傾向がありました。近年は

インターネットの発展によりグローバル化が進んだことで、中小企業の委託元が増加しています。また、オフショア開発が普及することで、ノウハウが蓄積され、さらに一般化が拡大しています。

ベトナムが新たなオフショア開発委託先に選ばれている

最新の日本におけるオフショア開発の動向を見るときに、注目すべき国はベトナムでしょう。ベトナムは、オフショア開発先の国を選択する場合、現状では最も多く選ばれている国です。

オフショア開発が日本で導入された時期に主力となっていた中国は現在でもアウトソース先として大きなシェアを維持していますが、新たにオフシェア先として企業が選択する国としてはベトナムの方が上位となっています。

ベトナムは現状では最も人気のあるアウトソース先です。その理由は後述で詳しく紹介しますが、主な理由としては人件費の安さ、親日、勤勉などがあげられます。ベトナムでオフショア開発関連のビジネスが発展するにつれ、高度なシステム開発に対応出来る企業が増加しています。

ベトナム国内での選択肢が増えてさらにアウトソース先としての魅力が高くなる一方で、単価が上昇傾向である点も注視すべき

でしょう。特に、ハノイやホーチミンといった大都市圏での単価上昇が目立っているようです。

大都市圏の単価上昇にともない、単価の上昇が緩やかなベトナムの中で地方都市にあたるダノンやフエをはじめ、バングラデシュやミャンマーなどの国がポストベトナムとしてのアウトソース先として注目されています。

フィリピンが選ばれる理由は英語

ベトナムに次いでアウトソース先として選択されているのがフィリピンです。フィリピンが選ばれる大きな理由は「英語」に長けている点です。日本企業に中でも、英語圏の製品を取扱い、英語でのビジネスの割合が多い企業はオフショア開発のアウトソース先にフィリピンを選択するケースが多くみられます。

また、日本企業の海外戦略のために、企業サイトや、ECの英語圏での立ち上げなどをすすめていく場合も、フィリピン、バングラデシュが上げられます。英語に長けたフィリピン企業と組むことは大きなメリットになります。同様のバングラデシュの人件費は比較的安価である点が大きな魅力です。


インドは高度な案件に対応できる

IT分野で世界をリードするインドは、オフショア開発のアウトソース先としてシュアを伸ばしています。インドが選ばれる理由は、高度な案件に対応できる技術者を抱える企業が多数存在するところです。

インドは人件費が高く、コスト面でのメリットはありませんが、世界に通用する高度な技術力をもった人材を確保できる点で

グローバル戦略に必要なオフショア開発のアウトソース先として重要な国となっています。

中国は高度な開発案件をアウトソースする国へと変貌
かつて、日本企業のオフショア開発のアウトソース先といえば中国でした。世界規模もビジネスを見ると分かるように、近年中国目覚ましい経済発展を遂げました。同時にIT技術の分野でも現状では日本を上回るともいわれています。人件費も上昇し、コスト面での優位性を求めるオフショア開発のメリットを求めることは困難になっています。中国は、コストカットを求めるオフショア開発のアウトソース先から、インドのように高度な開発案件をアウトソースする国へと変貌を遂げてきています。

オフショア先にベトナムが多く選ばれる理由

オフショア開発の委託先といえば、かつては、中国、インドが先駆けとなってシェアが高かった傾向がありました。しかし、

グローバル視点で見ると分かるように、中国とインドは目覚ましい経済発展を遂げ、同時に労働者の人件費を高騰させています。

オフショアの最大のメリットのひとつは、人件費の安さです。その点で考えると、中国やインドは、オフショアのコストカットを

念頭に置いた委託先としての魅力が薄まってきました。そんな中で近年注目されてきたのがベトナムで、現在ではオフショア開発の委託先の主力となっています。ベトナムがオフショア開発の委託先に選ばれる理由は、人件費の安さだけではありません。

1親日的な国である点

2若い人材が豊富

3国を挙げてIT技術者の育成に力を入れている

親日的な国である点

1点目に上げられるのが、親日的な国である点です。海外でビジネスを行う上で、親日的な国であるということは、非常に重要です。反日の傾向がある国では、トラブルが発生するリスクを考えなければならないためです。ベトナムは日本に対して好印象を

持っている国ですので、友好なコミュニケーションをとりながらビジネスをすすめることができます。また、ベトナム人は勤勉で

真面目であるといわれており、日本人と国民性が似ている点もビジネスパートナーとして選ばれる理由です。

また、ベトナムの学校教育で日本語教育に力を入れている学校が多く、日本へ留学する学生も多くいることから、日本語を

理解きる若者が多く存在することもメリットです。

若い人材が豊富

2点目は、若い人材が豊富な点です。高齢化が進み、人材確保が難しいといわれている日本と比較すると、ベトナムはオフショア開発に関わることができる人材が豊富です。さらにベトナムの人口は増加傾向にあり、将来的にもソフトウェア開発に必要な豊富な人材の確保が可能です。

国を挙げてIT技術者の育成に力を入れている

3点目は、国を挙げてIT技術者の育成に力を入れている点です。ベトナム政府は国策でIT技術者の人材育成に力を入れており、

そのための施策として、大学などの教育機関に対し積極的な支援を行っています。それに伴い専門的な知識とスキルを持った

ITエンジニアは今後さらに増加していくことが予測されます。

オフショア開発の課題・問題点

オフショア開発は日本国内ではなく、海外の企業と組んで業務を行っていくため、特有の課題や問題点があります。

コミュニケーションロス

オフショア開発で必ず出てくるであろう課題・問題点は、言語・文化の違い、物理的な距離・時差によるコミュニケーションロス

です。言語・文化の違いは、海外でビジネスをするうえで認識しておくことが必要です。国によって働き方や時間に対する考え方、価値観が違います。経済情勢・社会情勢もビジネスに大きな影響を及ぼす可能性があるので注意しましょう。

開発の進捗が見えづらい

自社でソフトウェア開発を行っている場合でも、担当者が仕事を抱えてしまうと、業務のブラックボックス化が起こる可能性が

あります。オフショア開発は地理的な距離・時差があり、開発の進捗が掴みにくい傾向があります。委託先の海外企業に

マネジメント管理を全て任せてしまうと、業務のブラックボックス化が進行してしまい、大規模な修正が必要となりスケジュールが大きく遅れるのケースも考えられます。

求めるクオリティと乖離が出やすい

前述のコミュニケーションロスや作業のブラックボックス化などによって、当初想定していたオフショア開発に期待していた

クオリティと乖離が出る可能性も考えておく必要があります。

オフショア開発を失敗しないための対策

ここでは、オフショア開発の課題・問題点を克服するための対策を紹介します。

コミュニケーション文化の違いを理解する

グローバルで展開するビジネスを考える時の基本となるのが、日本はハイコンクエストのコミュニケーションをとれる国であるという認識です。日本は単一民族の国なので、会話などのコミュニケーションにおいて、同一民族であれば当然わかるであろう部分に

おいては、曖昧な表現をすることがよくみられます。こうした曖昧な表現が通用することをハイコンクエストと呼びます。

一方でグローバルな視点で考えると海外の国の多くは多様性のある多民族国家です。こうした国では日本で通用している

ハイコンクエストのコミュニケーションは通用しません。他民族国家では文化的な共有部分が希薄なため、全ての項目について

曖昧ではなく明確に表現し説明していかなければなりません。このような社会をローコンクエストと呼びます。

海外の国と取引をするオフショア開発では、ハイコンクエストでなければ通用しない曖昧な部分は無くし、ローコンクエストでの

コミュニケーションを徹底する必要があります。また、資料なども徹底してローコンクエストで作成しましょう。「これ」「この」などの指示語は極力使用せず、明確な用語で説明しましょう。

密なコミュニケーションを取る

前述のローコンクエストのコミュニケーションを取ると同時に、密なコミュニケーションを取るように積極的に取り組みましょう。具体的には、コミュニケーションツールで密なやり取りや図などを用いたコミュニケーション、場合によっては画面共有しながら

のビデオ会議など、開発状況を把握することが重要です。

また、日本とオフショア先の橋渡しの存在となるブリッジSEを現地に置くことも重要になってきます。

ソースコードのレビュー

開発状況を把握するにはソースコードのレビューは非常に重要です。オフショア側に開発を丸投げすることはお勧めできません。

丸投げすると、ユーザーテストの段階で認識違いが頻出し不具合が多く発生するケースや、リリースはできたものの拡張性がなく

追加開発がしにくくなるケースが考えられます。

オフショア先でテストチームを発足する

オフショア先でテストチームを発足するのも解決策のひとつです。上流工程からテストチームを参画させることで、案件とのズレを早期に発見できます。また、テスターと開発者が同じ母国語なので密なコミュニケーションが取りやすく、

開発状況が把握しやすくなり、その結果日本側で管理がしやすくなります。

まとめ

オフショア開発とは、社外に開発業務を委託するアウトソーシングの中で、海外にアウトソーシングするものを指す言葉です。

コスト面や技術面の優位性を求め、開発業務の一部または全てにオフショア開発を活用する企業が増えています。かつては、大企業の委託元が多い傾向がありましたが、インターネットの発展によりグローバル化が進んだことで、現状では中小企業の委託元が増加しています。現在、オフショア開発の委託先として選択されている国の代表的な国は親日で人件費が安いベトナムとなっています。

オフショア開発の問題点として考えられるのが、コミュニケーションロスとブラックボックス化などです。問題点を克服すための

対策には、文化の違いを理解したうえで密なコミュニケーションを心掛け、実務ではソースコードのレビューを怠らない点があげられます。オフショア先でテストチームを発足するのも一つの方法です。IT業界で、競合に勝つための戦略としてオフショア開発が選択されるのは自然な流れでしょう。オフショア開発の課題・問題点を克服するための対策をとりながら検討をしていくことをお勧めします。